生活保護申請時の扶養照会の断り方について

家族に連絡されたくない!【扶養照会について】

生活保護申請の際に、家族に連絡が行くって聞いたんですが本当ですか?

はい、生活保護申請の際には「扶養照会」と言われる、親族へ扶養ができないかの連絡が行く仕組みがあります。

この「扶養照会」があるがために、生活保護の申請をためらっている方も多いのではないかと思います。

生活保護は受けたいけど、家族には絶対に連絡されたくないんです…!
絶縁状態ですから…!

実は2021年、この扶養照会の運用が見直され、扶養照会を行うかどうかは本人の意向を尊重し、照会を行うのは「扶養が期待できる場合」のみに限られることになりました。

そうなんですか!

この運用変更の少し前にも、扶養照会の運用に関しては改善がなされていて、
・「親族と10年程度連絡をとっていない」(これまでは20年)
・「親族に借金を重ねていたり、相続で対立したりするなど著しく関係がよくない」
・「親族がDVや虐待の加害者」
・「親族が未成年者・概ね70歳以上など明らかに仕送りが期待できない場合」
・「親族が専業主婦・主夫の場合」
・「親族が生活保護を利用していたり、長期入院、施設入所をしている場合」
などのケースでは止めてもらうことが可能になっていました。

この運用変更により、上記のケースに該当しているかどうかに関わらず、親族による扶養が期待できない場合は扶養照会を止めてもらうことが ※本来は できるはずです。

ですので、ご自身のケースが「親族による扶養は期待できない」に該当すると思われる方は、その旨をしっかり伝えて扶養照会をやめてもらうように伝えてください。

しっかり言わなければいけないんですね。

念の為、口頭での要求に加えて、『扶養照会に関する申出書』『扶養照会に関する申出書添付シート』をプリントアウトして記入し、申請時に一緒に提出することをお勧めします。

申出書記入例申出書添付シート記入例

提供:つくろい東京ファンド様

ちなみに上記の虐待のケースについてですが、虐待を受けていた方が自分自身が虐待被害者であると自覚していないケースも往々にしてあります。

ご自身が例えば心理的虐待がある家庭環境で育ったケースに該当しないかもチェックしてみてください。

例えば、
・日常的に暴言を受けていた
・他の家族(母親や兄弟)への暴力を目の当たりにするような家庭環境だった
などですね。

わかりました。ありがとうございます。

ところで「※本来は」という言葉が出ましたが、そうでない場合もあるということですか…?

はい。厚生労働省は生活保護担当課に対して、相談者が申請をためらうことのないような対応・弾力的な運用をするように通知を出しているのですが、

しかし現実には、そうした厚労省の通知にも関わらず、扶養照会を従来通りの基準で運用している自治体が結構多いのです。

えっ、そうなんですか…。

もし生活保護の相談窓口で、古い運用のまま扶養照会が必要と言い張るなどの対応があった場合、私たちのような支援団体が同行したり、正しい運用を行っている別の自治体での申請が必要になってくるかもしれません。

もしお困りのことがありましたら、まずは相談してください。

わかりました。どうもありがとうございます。


市役所の外観

生活保護の扶養照会は親族のどこまで連絡される?

生活保護の扶養照会では、原則3親等内の親族に連絡が行くことになっています。

3親等内の親族とは、

  • 両親(1親等)
  • 子供(1親等)
  • 兄弟姉妹(2親等)
  • 祖父母(2親等)
  • (2親等)
  • 叔父・叔母・甥・姪(3親等)

が該当します。ただし叔父・叔母・甥・姪(3親等)にまで連絡が行くことは非常に稀です。

生活保護の扶養照会を断る方法

この扶養照会ですが、以前は生活保護申請時に一律に照会が行われていました。しかし、2021年に扶養照会の運用のあり方が見直され、現在は本人の意向を尊重し、「扶養が期待できる場合」のみに限られています。この変更により、扶養照会が原因で生活保護の申請をためらっていた多くの人々が、申請しやすくなりました。

たとえば、親族と長期間連絡を取っていない場合や、親族との関係が著しく悪い場合(借金のトラブルや相続問題など)、親族がDVや虐待の加害者である場合、親族が経済的に困窮している場合などは、扶養照会を行わないことが可能です。これにより、親族に連絡が行くことを心配せずに生活保護を申請できるようになりました。

扶養照会を受けたくない場合には、いくつかの理由を福祉事務所に伝えることで、照会を断ることが可能です。2021年の運用見直しにより、本人の意向が尊重されるようになったため、扶養が期待できない場合や、親族との関係が悪い場合には、照会を行わないように求めることができます。

具体的な理由としては以下のようなものがあります:

  • 長期間連絡を取っていない親族:親族と10年以上連絡を取っていない場合、扶養義務が期待できないため、照会を断る理由として有効です。
  • 親族との関係が悪い:借金のトラブルや相続問題などで親族との関係が著しく悪い場合も、扶養照会を断る理由になります。
  • 親族がDVや虐待の加害者:過去にDVや虐待を受けたことがある場合、その親族に対して扶養照会を行わないように求めることができます。
  • 親族が経済的に困窮している:親族が生活保護を受けている、長期入院している、施設に入所している、未成年者である、概ね70歳以上であるなどの場合も、扶養照会を断る理由になります。

これらの理由を福祉事務所に伝える際には、『扶養照会に関する申出書』と『扶養照会に関する申出書添付シート』を記入して提出することをお勧めします。これにより、福祉事務所が申請者の意向を正式に受け取り、適切な対応を行うことができます。

生活保護の扶養照会で困ったら

生活保護を受けるには、まず居住地の福祉事務所に相談し、申請書と必要書類を提出します。

生活保護が認められれば、生活費、医療費、住居費などの支援が提供されます。

生活保護申請に不安がある場合や対応に問題がある場合は、こうした問題に取り組むNPOなどの支援関係者に相談することが大事です。NPO法人生活支援ネットでは住居の提供とともに、生活保護申請手続きにも同行し、福祉事務所との交渉をサポートし、アドバイスを行っています。

困ったときは一人で悩まずに、私たちにご相談ください。

生活保護申請手続きに同行しアドバイスを行う女性



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